交通事故

1.交通事故の被害で弁護士への依頼を検討されている方へ

交通事故の被害には、人損(負傷等)と物損(車両等の被害)があり、加害者が任意保険に加入している場合には、加害者側の保険会社に賠償を請求するのが一般的です。

保険会社が被害者個人に提示する損害賠償の算定基準は、裁判所で用いられている損害賠償基準と同様でなく、低い場合もあります。被害者側も弁護士に依頼し、裁判所で用いられている基準に基づいた金額を請求することで賠償額が高くなることもよくあります。

交通事故の被害に遭われた場合には、弁護士に依頼をすべきかどうかについて、法律相談を受けられることをお勧めします。

さらに、交通事故で重傷を負った方や、ご親族を失った方は、上記の損害賠償請求だけではなく、刑事事件で加害者である運転手が適切に処罰されるのかについても関心をお持ちではないかと拝察いたします。このような関心をお持ちの場合、刑事裁判に被害者参加することができますが、参加される際には、弁護士に依頼し、弁護士と一緒に刑事手続に参加することをお勧めします。

2.ご相談事例

脚に疼痛やしびれが残っていますが、後遺障害に該当しないとの認定を受けましたが、どうすればよいですか。

自賠責の後遺障害の認定には、保険会社を通じた事前認定と、被害者が主体となる被害者請求があります。認定結果の不服の場合、どちらの場合でも異議申し立てが可能です。また、紛争処理機構への紛争処理申請により等級認定を争うこともできます。この事例のような局部の神経症状は、後遺障害等級第12級や14級の認定が受けられる可能性があり、初回の認定手続で提出された資料の内容を精査し、必要な資料を提出した結果、認定内容が変更されるケースもあります。

専業主婦ですが、後遺障害が残った場合に休業損害や逸失利益の請求はできますか。

専業主婦の方が交通事故に遭われ、家事や育児が困難となった場合、平均賃金を参考にした休業損害や逸失利益の請求が可能でしょう。保険会社がこれを任意に認める場合でも、自賠責の基準を前提とした低い金額で提案することが多くみられます。また兼業主婦の場合、パート収入が平均賃金を下回る場合、主婦としての休業損害としていない平均賃金との差額を参考にした請求が通常可能です。逸失利益についても平均賃金を参考に基礎収入を算定して請求することができます。

被害者側に過失があるといって過失相殺を請求されていますが、どうすればよいですか。

過失相殺は、民法722条に基づき、事故当事者の過失割合に基づき、損害額を調整する制度で、事故の原因が双方にある場合に適用されます。保険会社は一定の指針に基づき、過失割合を主張して、損害額の減額を求めることが一般的です。しかし、保険会社の主張する過失割合が不当に被害者側に不利であることも多くみられます、過失割合の算定には、刑事捜査記録や事故現場の状況、ドライブレコーダーの内容などの事故の状況とそれを示す証拠の精査が必要となり、弁護士に依頼することで被害者側の過失割合を低くできることもあります。

親族を交通事故で亡くしました。運転手は警察や検察の取り調べで、自分の罪を軽くするため、事実と違うことを言っているようです。私が、運転手の刑事裁判に関与することはできますか。

はい。ご遺族は刑事裁判に関与することができます。関与の仕方としては、①裁判傍聴(刑事裁判を傍聴席で傍聴する)、②心情に関する意見陳述(刑事裁判の中で、自身の心情をつづった文章を読み上げる)、③被害者参加等があります。②及び③は、検事を通じて裁判所から許可を得て行うものとなっています。実際にどのようなことをされるのかを判断される際には、被害者支援に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。なお、あわせて、犯罪被害のページもご参照ください。

3.解決事例

休業損害の日額給与額の算定方法に関して、保険会社が、事故前3ヶ月分の収入を90日で割り、休業損害の算定の基礎となる日額給与額を算定したケースで、実稼働日数で割る方法が適切であることを指摘し、これを認めさせ、当初の提案より増額させて交渉解決しました。

保険会社が被害者に2割の過失があると主張した事案においては、被害者の過失割合を実質的に1割とする解決をしました。また、保険会社が1割の過失を主張した事案では、被害者に実質的に過失がないとする解決をしました。交渉にあたっては実況見分調書やドライブレコーダーなどに証拠を精査するとともに、同種先例を調査しました。

交通事故でご親族を失った方から依頼を行け、被害者参加弁護士としてその方とともに刑事裁判に参加し、様々なサポートをしました。

4.弁護士費用

弁護士費用は、交通事故の被害に対する損害賠償額を経済的利益として、弁護士費用ページ記載の表に基づき、着手金(請求額を基準)・報酬金(認容額・合意額を基準)を算出するのが一般的です。

他方、弁護士特約のある保険に加入されており、弁護士特約を利用される場合には、保険会社の基準に基づき、ご依頼を受けることが可能です。交通事故被害の場合には、弁護士費用が保険により支払われ、本人のご負担が不要なケースも増えておりますので、ご加入の保険をご確認ください。