TOKYO大樹法律事務所

コラム

浪江原発訴訟 追加提訴のご報告

弁護士 佐々木 学

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に引き続き、東京電力福島第一原発において原発事故が発生したことで、浪江町民は、住み慣れた町からの避難を強いられました。長期間に及ぶ浪江町民らの避難生活は過酷なもので、原発事故前の密接な地域のコミュニティも完全に破壊されてしまいました。
 2013年5月29日、原発事故によって避難を余儀なくされた浪江町民1万5788人が、原子力損害賠償紛争解決センター(原紛センター)にADRの集団申立を行いました。その後、原紛センターの仲介委員から和解案が提示されました。申立を行った町民らは、早期解決のためにと和解案を受け入れましたが、東京電力が不合理な拒否を続けたため、2018年4月に集団ADRが打ち切りとなりました。東京電力は、それまでは仲介委員の和解案を尊重すると宣言しながら、本件については、不合理な拒否を続けて、浪江町民らの期待を裏切りました。
 その後、2018年11月27日、東京電力の和解案受諾拒否によって期待を裏切られた浪江町民109名(49世帯)は、福島地方裁判所に対して、国と東京電力を相手に、損害賠償の支払いを求める訴訟(浪江原発訴訟)を提起しました。請求の具体的な内容は、原発事故によってコミュニティが破壊され、長期にわたり避難生活を強いられたこと、被ばくにより将来健康被害が生じる不安を抱き続けること、さらには、東電が集団ADRで提示された和解案を違法に拒否したことに対する各慰謝料を求めるものです。「私たちの『浪江』を返せ!」をスローガンにしています。
 私も、弁護団の一員として、浪江原発訴訟に関わっています。
 この浪江原発訴訟では、2019年5月20日に、第1回口頭弁論期日が開催され、原告本人と代理人の意見陳述が行われました。その際に、浪江町民115人(52世帯)が、新たに追加提訴(2次提訴)を行いました。
 そして、2019年7月18日に、第2回口頭弁論期日が開催され、原告本人と代理人の意見陳述が行われた他、その際に、浪江町民197人(73世帯)が、新たに追加提訴(3次提訴)を行いました。現時点での原告数は411人(174世帯)で、最終的には最大2000人程度になる予定です。
 浪江町では避難指示が一部解除されましたが、現在も、8割以上の地域は、いまだに放射線量が高く、帰還困難区域となっています。また、避難先から町に帰還した町民は、わずかの850人程度で、事故前の町民の4パーセントにすぎません。 原発事故から既に8年以上経過していますが、町民達にとっては、原発事故による被害は継続しているのです。今後、浪江原発訴訟において、浪江町民達の被害の実態を訴え、国と東京電力の法的責任を明確にして、町民達の被害救済を求めていきます。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
2019年8月8日